千恋☆ロマンス Ⅱ





『それで、何の用……でしょう。』



用もなく此処に来る暇人じゃないだろう、と思って聞いた。



「ああ……。永遠子、これ受け取ってよ。」



志紀が取り出したのは……



『また箱……。』



そう、またまた箱。




今度こそ箱を開けると、入っていたのは白地に金魚の柄の浴衣、それから帯。




「今日、神社祭だろう?永遠子に似合うと思って美鞠に手配してもらったんだ。」



え……?まさかそれだけの為に来たわけ?




も、もしかして!



『触った瞬間呪いにかかる!』

「かからないから。」



いや、疑うのも無理はないよね!






「とわっちゃん、この箱も開けてみてよ。」





水色に大きな牡丹の浴衣があった。




玲が無言で箱を指さす。



そこには可愛いピンク色の薔薇柄の浴衣。





『浴衣、こんなに着れないよ……。そもそもそれ以前に、私祭り行けないし。』



「「「え。」」」



『祭りっていうのは、人間同様モノたちもテンションが上がるからより自我を失いやすいの。

それに、折角皆楽しみにしてるお祭りなんだし、怪我とかさせたくないでしょ。』




そんな事、毎年祭りを断ってるんだから梓も玲も知ってるはずだけど……。




「だーいじょうぶ、永遠。今年は明希ちゃんが頑張るから。」


思考を読んだのか、梓さん。



でも、


『明希にはまだ早いよ。』






「実践は大切でしょ?ね、さっきからそこで盗み聞いてる明希ちゃん。」



「あ……梓ちゃん……。」



明希、いつからいた!

てゆうか超怯えてるよ。


やっぱり、あの二人……仲悪い。




「でも俺、自信無……「永遠は小3から梓とお祭りに行ってくれなくなったの。」」


訳.永遠は小3からやってたけど、お前は中3だろ、やれ。





「いや!それは、姉ちゃんが特殊なんだよ!」


「でもー、明希ちゃん来年から高校生でしょ?いつまでも永遠に迷惑かけていいのかなぁ。」



その時皆思ったよね。



こ、怖ええ……!!



そう、とってもブリザード。

微笑む(冷笑)梓に凍らせられそう。



「ね、姉ちゃん。行ってきなよ、というかお願いします、行ってください。」




最早最後はお願いされちゃいました。



うん、でも……行きたいな。



りんご飴、たこ焼き、焼きそば。



食べたい……。



『明希、りんご飴買って帰ってくるからね!』



「気持ちは有難いけど溶けるよ。」




知りませんでした。







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