マリア様!



「はぁ?何に使うつもりよ。」

ギロリと睨みつけてそう言えば、私の言葉を無視して半ば無理矢理ポケットの中に入っている携帯を奪い取る。


「ちょ…っ!」


「へー、最新機種じゃん。」

俺と一緒、と付け足して軽々と操作する。

どうせこいつのことだから、どっかの化学女とそう変わらないブッサイクな女に強請ったに違いない。



…まあ、私もそう変わらないけど。

私は男が相手なだけ、多分まだマシだろう。


「よし、おっけ。」

ゆるく口角を上げた彼は、私のポケットに携帯を戻して、「先戻ってるから」と言葉を残して去って行った。




「……なんなの、あいつ。」

嵐のように現れて、グチャグチャに掻き回すだけ掻き回して、あっさり帰っていくなんて


ふざけてる。

私のこと、絶対にバカにしてる。


みんなみたいにマリア様、マリア様ってヘラヘラして言うこと聞いてくれたら、まだ愛せたのかもしれないけど

あれじゃまるで、私と変わりない性格じゃない。


信じられない。

一条ひろに惚れるなんて、絶対あり得ない。


だって、私は一番自分が可愛いし。自分以外を優先する付き合いなんて楽しくないし。




「…げ、あいつ勝手に電話帳に登録してるわ。」

そこまでして、私にこだわる理由は

やっぱり私が美しいから

なのかもしれない。



………まぁ、別にいいけど。

返り討ちにしてやるわ!

一条!!


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