マリア様!
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あの後、番号を交換させられただけで特に何もなく…
何もなく帰れると思ってたのに…
「なんで、一条様がこんなところにいるのかしらねぇ」
只今、靴箱の目の前です。
「それはマリアのこと待ってたからに決まってるだろ」
「呼び捨てにしないで。マリア様ってお呼びなさい」
なーにがマリアよ。
マリアと呼んでいいのは身内の者だけなのよ。あとはどんなに親しくても、マリア様と呼んでいるのに。
この男は私の怒りをかうのがよほどお好きみたいね。呆れちゃう。
「それに誰が一緒に帰るなんて約束したのよ」
私は今日はお家でゆっくり過ごす日だっていうのに。こんなことされては気も休まらないわ。
「俺が決めたから」
あぁ、神様。
どうしてこの男は自分勝手なのでしょう。過度すぎるくらいに。
「ほら、帰んぞ、マ・リ・ア・様」
マリア様のところだけを
わざとらしく強調する一条。
こうなったら…
「残念ね、私はこれからお買い物なのよ。だから一緒には帰れないわ」
予定変更だわ。
せっかくのゆっくりする日が…