マリア様!
聞き慣れた乾いた音が何の音なのか、なんて考えなくても理解できる。
《マリアちゃんマリアちゃん、笑って!》
———カシャッ
《やっぱマリアちゃんが一番可愛いわ。》
あの音。別に嫌いじゃない。
わたしがどれだけ素敵で、可愛くて、価値のある人間かを表してくれて。
別に、嫌いじゃないけど
「最っっ悪!!アンタとスクープなんていい迷惑なのよ!」
どうして隣が、こいつなんだ。
しかも撮るなら一番綺麗に引き立ったわたしを撮りなさいよね。不意に撮ったって綺麗なわたしは
引き出せないっつーの!!
「は?別に良くね?」
大して興味も無さそうに笑う隣の男をギロッと睨めば、ニヤリと楽しげに笑った彼はわたしの手を一段と強く握った。
「ちょ…っ!離してよ!」
これ以上近付けば本当に話のネタにされかねない。
青ざめた表情で必死に腕をブンブンと振るけれど、一向に離れない腕。こいつ、力強すぎ。
「俺とお前、スクープになるのも楽しそうだけど。」
…冗談じゃない!