エデンの林檎
「星野か…。」
「はい。プリント持ってきました。」
「あぁ、ありがとう。
星野、お前、いつからいたんだ??」
「ちょっと前からです。
て言うか、先生すごいんですね。ピアノ。今の曲って、ショパンですよね。」
「あぁ、ショパン。ショパンの『雨だれのプレリュード』だ。
ショパンのこと知ってるってことは星野経験者なのか??」
「え…はい。
中2の夏までピアノやってました。
今じゃもう弾けないですけど。」
「何か得意な曲あったか??」
「ショパン…の…ノクターンです。」
私が答えると先生はピアノのイスに座り直し、静かに鍵盤の上に先生のキレイな指を乗せる。
そして先生はとてもキレイなショパンのノクターンを弾き始めた。
そう…これ。
私が弾いていたノクターンとは比べ物にならない。
先生はすごい人だってことを思い知らされた。