エデンの林檎


「あれ…でも、作曲者名は先生の名前じゃないですけど…??」


「それはペンネームみたいなものだよ。


『星野 奏多』


これが作曲者としてのオレの名前。


『本郷 奏音』だったらまた本当のオレを見てもらえないし、


自分の力で勝負したいからさ。


苗字の『星野』は星野、君から勝手に使っちゃった。

ごめんな。」


「いえ、


『星野』なんて日本中どこでもある苗字ですし。


私は大丈夫です。


むしろ…。」


「むしろ??」


「えっ、あ、何でもないで

す。」


私はハッと我に返り、必死に誤魔化した。


今…私は何て言おうとしてた…??


『むしろ、同じ苗字で嬉しいです。』


なんて言えない。


……と言うか


言ってしまったら先生を困らすことになるから


言ってはいけないのに…。


何変なこと口走ろうとしてたんだろう…??


私、変だよ…。


先生のことになると


コントロールが効かなくなっちゃう…。


どうして…??


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