恋人を振り向かせる方法
「止めよう!今なら間に合うよ」
飛び出す勢いの海流の腕を、必死に掴んだ。
「いい!今止めても、またいつか同じ事をするわよ。だって、二人は想い合っているんだから」
「だけど•••」
やり切れない顔で、海流は二人が消えたドアを見つめている。
そして握り拳で宙を切り、「くそっ!」と吐き捨てていた。
「海流、行こう」
身を翻した私の腕を、海流はさっきの敦哉さんの様に強引に掴むと、部屋へ入ったのだった。
「海流?」
どうしたというのか。
顔を見上げた瞬間、唇が重なった。
「いや•••!やめて」
反射的に体を押し返す。
すると、海流は苛立った様にネクタイを乱暴に外すと、スーツのジャケットとシャツを脱ぎ始めた。
「もうあんな奴、フってしまえよ。俺とやり直そう。向こうだって、お楽しみ中なんだから」
「や•••、海流。落ち着いてよ」
後ずさりをする私に、海流はじわじわと近付いてくる。
その無表情に恐怖心を感じながら後ずさりを続けると、ベッドに足が当たり倒れこんでしまった。
言葉を出せずに見上げると、海流は本気なのかズボンを下ろしている。
「落ち着けるわけないだろ?愛来だって、本当に好きなら何で止めないんだよ。そんな中途半端な気持ちなら、俺はもう遠慮しない」
そう言って海流は力任せに私に被さると、服を脱がせたのだった。
「あっ、やめて•••」
下着まであっという間に脱がせた海流は、遠慮無しに体に手を伸ばす。
だけど、そこで甘い声を漏らす事は出来なかった。
代わりに、とめどなく涙が溢れてくるのだった。
付き合っていた頃は、海流とのセックスを感じていた。
それは間違いないのに、今実際に触れられると、体が自然と拒絶する。
涙を止められないでいると、海流の動きが止まった。
「海流?」
恐る恐る目を開けると、海流は無表情のまま隣に寝転がっている。
「泣いてる女を抱くのは趣味じゃない」
そう言うと、腕で顔を隠した。
「ありがとう••+」
心底ホッとして、布団にくるまる。
「なあ、愛来。何で俺が愛来とキスをした日から、全く連絡をしなかったか分かるか?」
「え?ううん。全然」
唐突な質問に戸惑いを感じながらも、顔を向ける。
すると、海流もこちらを見たのだった。
「愛来から連絡がなかったから。敦哉さんとうまくいっているなら、邪魔をしないでおこうと思ったんだよ。本当はもう、愛来の事は望みがないと分かってた」
「そうだったの?」
「ああ。だけど、こんな状況になったら、話は違うよな。とても放っておけない」