俺と君の現実論

それこそ間違いだと声を張り上げる俺に、ハルキは目だけで俺を見上げた。


「ちがうよ、俺はハルキを信頼してないわけじゃないっ。むしろその逆だ!
ハルキ以外の言うことなんて信じられな…っていうか、聞く耳もたないね」

「……。」


ぎゅうっと抱きしめると、黙ってされるがままになっていたハルキの息を吸う音がぽそりと聞こえる。

密着しているせいだろう。
トクン、トクンと鼓動を感じる。


ねえ、ハルキ。
俺はハルキじゃないと駄目なんだ。


「……、知ってますよ」

「え?」

「あなたが私を信じないわけないでしょう。あなたは私なしでは生きられないのですから」


ふっと微笑み見上げるハルキの顔が優しいもので。
つい、ほうっと見惚れてしまった。

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