俺と君の現実論

しかしハルキはふと目を伏せた。


「ですが、だからこそあなたを不安にさせたのは私しかいないんです。…私の、せいですよね」

「っあ、え…、いや…」

「転んで泣いてたわけじゃないでしょう。あなたが感情を露にする原因は、必ず私です」


そっと目元に触れてくるハルキの冷たい手。手袋はどうしたんだろうと、ふとそんなどうでもいいことを思った。


「…それは、ハルキも同じでしょ?」

「え?」

「ハルキがそんな悲しい顔をするのも、俺限定だって。知ってるから」


だから、顔を上げて?

ハルキの頬に手をそえて目を合わせる。綺麗な目だ。
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