俺と君の現実論
ハルキが逃げないよう、あくまで優しく腕を掴むと、なんだかハルキの顔が曇った。
「雪だるま」
「午前中もそれだったよね。いい加減、俺を見てよ」
「じゃあ、きゅーさんも一緒に雪だるま作りましょう」
「ここスキー場だよね」
「雪がある限り、私は永遠に雪だるまを作り続けることをここに誓います」
「誓わなくていいから、っていうかボケなくていいから!」
どうあっても雪だるまを作りたいと主張するハルキ。
ううん、これはもう強引にいくしかないのかな。
「ハルキ、スキー一緒に滑ろうよ。なんならスノボ教えるよ」
「スキー?私を殺す気ですか」
「ええっ?」
「ましてやスノボなんて…。あんなのの何が面白いのか、私にはわかりません」
「……、ハルキ」
ツーンとそっぽを向き、うらめしそうに遠くで滑っているカップルを睨んでいる。
えっと、もしかして。
「ハルキ、スキーできないの?」
「…はあ?あなた私を馬鹿にしてるんですか」
「じゃあ一緒に、」
「できないんじゃありません。やりたくないだけです」
「……。」