キモチを伝える
言わないで。
コンコン…
「はあ…」
「こんばんわ。」
あ…この声は
今は19:00……
あの人しかいない。
「なに。」
「話がある。」
「どんな?」
「まず、入っていい?」
「勝手にどうぞ。」
私は布団に寝転がり、
そっぽを向いていた。
ガチャ
「…」
「なんでそっち向いてんの。」
「別に」
「…泣いてんだ?」
「泣いてない。」
「何があったんだよ、」
「何でもないから。」
「そんなわけねぇだろ」
「それ以上、言わないで。」
そう言うと、弘樹は黙った。
「…ごめん。」
「あ、そうだ。デートに行かねぇ理由だけど。」
「うん…」
「莉央が可愛すぎるから、他の男に目を付けられたくない。それだけだって」
「ふーん」
「じゃ、帰るわ。」
そう冷たく言うと、
ドアの閉まる音が聞こえた…
私はその瞬間、また涙が溢れた。