愛してるの定義(ヒカリの直後)
「……簡単に愛してるって言わないでください」
奈々子は言った。
「須賀さんの気持ちを偽らないで、正直に話してください。拓海さんを愛しているなら……愛し続けるなら、そのままで。無理に……わたしに向こうとしないで」
「わかった」
「それだけです」
奈々子は言った。
けれど……。
奈々子は思う。
彼が誰か他の人を真剣に愛する日が来たら、
きっと自分は壊れてしまうだろう。
沈黙が二人の間に流れる。
太陽はのぼり、暖かな日差しが二人に降り注ぐ。
そして結城が言う。
「君を愛してる」
奈々子は驚いて顔をあげた。
再び彼が言う。
「愛してるんだ」
「……何を考えてるんですか?」
「今、考えた。君を愛してる」
「は?」
「聞いてないの? 愛してる」
奈々子は腹が立って、思わず立ち上がった。