愛してるの定義(ヒカリの直後)
あの人は、わたしを混乱させる天才だ。
わたしを愛してることにしたって、どういうこと?
奈々子は大股で結城から離れて行く。
とにかく腹が立ってしかたがない。
未だかつて、こんなに人にイライラしたことはない。
「やっぱり、離れて行くの?」
後ろから声が聞こえる。
「そう! 当たり前です!」
奈々子は振り向かず、大きな声でそう答えた。
しばらく無言で歩く。
結城からの返事はない。
思わず立ち止まり、ふりかえった。
もう目の前に結城が立っていた。
奈々子の腕をつかむ。
それから強引に引っ張って、歩き出した。