泪
「…………」
「浸水がばれたら一気に客足を失うことになる。隠そうともそのままにしておけばもっと被害が広がるだろう。
だから、浸水したという事実を隠さず、かつ自分達のせいにしないように考えたのが、船幽霊だ」
「……………」
「船にはよくある噂、怪談だからな。ちょうどよかったんだろう。
そして、お前らを呼んだんだ。
船幽霊が浸水を引き起こしたという話に真実味を増すためにな」
「そうでしょう?」と想汰は自身の後ろを振り返る。
彼の背後には、このクルーズ船の船長、宮野が蒼白な顔をして立っていた。