泪
「はっ…。別に俺はあんたが嫌いなわけじゃないんだぜ?苦手なんだよ。特に目付きがな」
「………そう言われたのははじめてだな」
想汰は眼鏡の奥の切れ長の目を細めた。
やっと口を開いた水谷だが、彼はまだ振り向かない。
相手の顔表情から感情を読み取ることを得意とする彼は、少しやりにくそうだ。
「滝さん。俺がこの船が浸水してると知ったのは乗ってからだ。
だからそれまで俺はなにも知らなかったし、今みたいな行動を起こそうとも思わなかった」