くそッ…と水谷が片手で頭を抱える。
彼の中で、ある程度の葛藤が生まれてるのだろう。

想汰は彼のことはかなり気に入らないが、根はいいやつなんだと結海から何回も聞かされてる。

だから想汰は、彼を今まで問い詰めることができなかった。


「結海はもう死んで…もう戻ってこない。それをあいつに言ってやりたかった。

でも、でも!船の浸水を確認したとき、怖くなった。
だって…このまま船を沈めてしまおうと考えてしまって。

俺は!俺は…自分が怖くなった。
結海が死んでから、俺も昴と同じようにおかしくなったんだよ…。
俺だって悲しくて苦しいのに、あいつはぶっ倒れて…俺は、どうしたらいいかわからなくなった」

 
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