泪
ゆるゆると体を揺らすと、亜希子は「ううっ…」と少し呻いてゆっくり目を開けた。
「大丈夫?」
顔をのぞきこむと、亜希子は「大丈夫です……」と小さく微笑んだ。
「……今の、なんでしょう」
「よくわからないけど、早くみんなと合流しよう。もしかしたら、手遅れになるかもしれない」
「手遅れ?」
亜希子は頭を押さえながら立ち上がる。
昴も立ち上がり、周りの様子を見回した。
少し違和感を感じたが、すぐに携帯を取り出し想汰に電話を掛ける。