「ちゃんと俺の言葉を思い出せよ。
沈めようとした。過去形だ。もうしねぇよ。それに、俺がなにもしなくてもこの船沈むだろ。船幽霊で」

「………」

その時、再び船が傾く。
急になった斜面に、昴と水谷はとっさに手すりを掴みどうにか持ちこたえる。


「………潮時だな」

「…何が」

「わかってんだろ。そのロープ、滝さんか?あの人本当にお前に甘いよな。見てて父子って感じがするよ」

「………水谷」

 
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