泪
昴は笑顔のまま、再びつかむ腕に力を込める。
「…………恵斗、」
「!」
思えば下の名前を呼んだのははじめてだった気がする。
そうだ。助かったら亜希子のことも名前で呼んでみよう。
「そうだよな…そうだ…。オレが死ねばよかったんだよ…まったくその通りだ」
「ちがっ…昴!俺は」
「ごめん、恵斗。今まで気づいてられなくて、でも、恵斗はオレにとってはじめての友達だから。はじめて友達と呼べる関係だから、無くしたくなかったんだ」
「昴、聞けよ!俺はお前にひどいことをたくさん言ったんだぞ!?早く離して、皆のところに戻れよ!」
「できないよ。友達だから」