スッ…と結海の腕が昴から離れる。

後ろ向きに歩きながら、結海はどんどん遠退いていく。

昴は慌てて追いかけた。
だが、足が地面に縫いついてしまったように動かない。


『ねぇ…昴知ってる?
人はね、二回死ぬの。
ひとつは、肉体的な死。命がなくなってしまうこと。
ふたつは、存在の死。人の記憶から、なくなってしまうこと。

私は、死んでしまったけど、あなたが私を忘れなければ、私は生き続けるの』

 
< 209 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop