とあるクルーズ船で、浸水が見つかったらしい。
浸水など、船にとって、さらには客船にとっては相当な問題だ。
一気に客足と信用を失うことになる。

慌てた船員が浸水箇所を探したがどこにも見当たらなかった。

だが、それを報告しようとしたその時。

ビシャンと水音が聞こえたらしい。
船員が振り向いて音の方向にライトを当てると、そこには水浸しになった床が。

そしてさらにピシャンピシャンという音がして奥にライトを当てると。



「手に柄杓を持った、人間がいたんだ」

内緒話でもするように身を屈めて水谷がゆっくりした口調で言う。

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