昴はそれでも泪を止めない。
いや、止められない。

子供のように泣きじゃくる最愛の人に、結海は笑いかけた。


『昴。私を忘れないで。そうすれば私は、あなたのなかで生き続けるから。
昴…あなたをいつまでも愛してるわ』

「ゆ…み、…」


いかないで…という言葉は、喉の奥につまって言えなかった。
言ったら、結海は困るだろう。

いつまでも、子供のままではダメなんだろう。

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