そんな視線を無視し、想汰はしばらく異常はないかと昴の体を観察する。


ふとハッと想汰は目を見張り、次に悲しげな表情を浮かべた。
彼の視線は、昴の右手に向かれている。


「雪村……神崎には会えたのか?」


「え……」


昴はぎこちない動きで右掌を開く。

そこには、彼女がつけていたターコイズブルーの指輪がころんと転がっていた。

昴は瞠目し、そして想汰と同じような悲しげな、しかし納得したような表情を浮かべる。

 
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