「…いたずら?」

「違う。その人は船員ではなかったしましてや客でもなかった。しかも体全部水浸しで、 不気味なやつだったらしい」

「へぇ。確かに変ですね。海での遭難者が船に乗り込んできたんですかね」

「的外れだ。だいたいそんな連絡はなかったらしいし、だったらなんで柄杓持ってたんだ?」

「…そう、ですね」


そもそも彼はどこでそんな情報を仕入れてくるのだろう。
昴が胡乱げな目線を送ると、何を察したのか、

「大丈夫だぞ?この情報は知り合いから仕入れたものだ。
俺たちがオカルト研究会だって聞いて、調査を依頼してきたんだ」


しかし彼らがそういう現象に詳しいからって、専門家に比べたら素人に毛が生えた程度だ。

そんな素人に頼むなど、何かあるのだろうか。
< 22 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop