泪
「昴、お前が何を心配してるのかはよーくわかる。
俺等はぶっちゃけ素人だ。ただ少しそういうのに少し知識があるだけのな。
けど、それだけでいいらしい。
船に不気味な噂は付き物。
それを少しでも晴らしてくれたら、それでいいんだと」
「なるほど。
専門家に頼んで、異常はないと言ってもらえるだけでいい。
つまり大したことはしなくていいからそれっぽく振る舞ってくれ。
ということですね」
自分なりに簡潔にまとめた安部さんが水谷に同意を求めると、水谷は満足げに頷いた。
「しかも、それまではクルーズ船でゆっくりしていいんだとよ。つまり!タダで遊べるんだ!いい話だと思わないか?思うだろ?!」
ぶっちゃけお前はそっちが本音だろ。と心の中で呟く。
「海か…」
結海は海が大好きだった。
大好きだった海で、結海は消えた。
もうあの笑顔を見ることは、2度と叶わないのだろうか。