泪
河童みたいと感想をこぼす昴。
腹が立ったので腹を殴ってやった。
私が着ているのは真っ黒なダイビングスーツだ。
頭まですっぽり埋るので、色が緑だったら確かに河童だろう。
けどそれは乙女にたいして失礼じゃないか?
「昴には、………はいっ、釣竿と餌。もしかしたら力負けして海に落ちるかもしれないから、一応救命胴衣着ときなさい」
「魚には負けないよ」
「さぁ、どうかしら?」
意地悪っぽく微笑むと、昴はムッとした表情になり、それでもやっぱり不安なのか救命胴衣を着始めた。