助けて。


たぶん私は、生まれてはじめてそう願った。


昴、昴気づいて。
助けて。

上まで上がらなくていい。
昴の釣りざおをつかめば、きっと気づいてくれる。


げしげしと『腕』を蹴る。

すると最悪なことに、『腕』がひとつ増え私の両足をつかんだ。

強くなった力に引きずられ、私は海の底に沈んでいく。

 
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