泪
「で、押しに負けて参加することにしたと」
一週間の船旅が決まった(決められた)翌日、昴は滝想汰と食堂に来ていた。
彼は心理学の助教授であり、昴にとって結海の次に心を許せる唯一の人物だった。
2年前より髪は少し延びたが、彼は相変わらず助教授止まりである。
昼時だからか、様々な科の生徒たちで溢れかえっていて、食堂は賑やかだ。
どちらかというと静かな場所を好む昴と想汰は、人がまばらな窓際近くに座った。
夏には観葉植物やらで美しい景色が見えるのだが、今は冬場で空はあいにくの曇天だ。
それでも、晴れの日に子供のように外に出るよりも自室にこもって思考を深める方が性に合ってる二人は特に構わない。