泪
昴は三食だいたいはコンビニか購買でやり過ごしていた。
結海がいた頃は彼女が作ってくれたし、彼は簡単な料理しか作れない。
たまに想汰が土産を持ってきてくれるが、最近ひとりでご飯を食べるのは寂しいと気づいてきて、空腹感に襲われるたび喉の奥が苦しくなる。
そんな途方にくれた幼子のように情けない彼を見るに耐えなくなったのか、想汰はよく一緒に飯を食べに行こうと誘ってくれる回数が多くなった。
ありがたいと思う反面、申し訳なく思う。
想汰はテーブルに頬杖をつきながら呆れたようなため息を吐いた。
「ったく…海にトラウマあるやつを船に乗せるとか、そのバカはなに考えてんだよ」
「たぶんなにも考えてないと思うよ」
水谷には毎夜見る夢のことも彼女の幻を見ることもなにも話してないのだから。
想汰はあきれた表情のまま「馬鹿馬鹿しい」と吐き捨てうどんをすする。