泪
ビシッと箸で昴の顔を指す想汰。
うどんの汁が飛んだのと、マナーがなってないことに昴は無言で顔をしかめる。
結海と出会うまでは、こういう風に他人と食事するなんて考えられなかった。
「そういえば雪村。その船での合宿とやらはいつだ?」
突然の問いかけに、昴は一瞬食事を止め「あー…」と水谷に言われた言葉を思い出そうとする。
「12月、冬季休暇が始まってすぐ」
「寒中水泳か?死にたくないならあまりおすすめはしない」
「……オレは泳げない」
ふっと想汰に失笑された。
思わず箸を握る手に力が入る。
「建前は幽霊調査だから、遊ぶのは本来の目的じゃない」
「本来の目的だろ。逆に幽霊調査が裏の目的」
「…まぁ、信じない人には馬鹿馬鹿しいから」