それから、俺はあの二人と接する機会が増えた。

神崎は俺を見かけたらボールを追いかける犬のように来て話しかけてくるし、雪村は最初の頃はモジモジとどうすればいいか困っていたようだが、だんだん慣れてきたのか普通に接してくれるようになった。

ある程度雪村と親しくなると、今度は彼の方から話しかけてくるようになり相談もしてくるようになった。

相談の内容はだいたい神崎のこと。
たまに語彙能力を鍛えようと俺と舌戦をするようにもなったが、当然結果は俺の全勝。

雪村が負けて悔しそうな顔をするたび、神崎は嬉しそうだった。

意外に鬼畜なのかと疑ったが、あれは完全に弟を見守る姉の目だ。

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