泪
雪村昴は目を覚ました。
寝起きはいつも、原因不明の頭痛に襲われる。
ズキズキと痛みを訴える側頭部を片手で押さえベットに備え付けてある電子時計を見る。
時間は午前7時12分。
午前の10時に講義をとってあるとはいえ寝過ぎた。
緩慢な動きで体を起こす。
空腹感はまったく感じないが、少しでも腹に何か収めようとベットから降り、キッチンに向かった。
彼女がいないこの部屋は、やけに寂しく静かだ。
独りを自覚してしまうと、目の奥が不思議と熱くなってよくわからない感情に飲まれそうになる。
「……………結海」