泪
「どう昴?なかなか似合ってるでしょ」
白いエプロンを着てクルンと一回転する結海の姿が目に写る。
意識を集中させるとそこには何もない。
ただ着る主がいなくなった白いエプロンがポツンと置かれてある。
幻だ。
わかってる。
けど、縋らずにはいられない。
まだあの声は、強く深く、耳に残ってる。
忘れたい。
忘れたくない。
二つに別れた相反する感情がグチャグチャになって、今にも溢れてしまいそうだ。
昴は壁に寄りかかり自嘲気味に笑う。
「結海…」
君に逢いたい。
ずっと君と一緒に、いたいんだ。