泪
想汰に連れてこられたのは、船幽霊の目撃情報が出た階層だった。
水谷たちの姿がないのは、もう調査し終わったのか、それともあとから来るのか。
はたまたどこかで遊んでいるのか。
「何でここに来たんですか?」
まだ出発前のアレを根に持ってるのか、昴は想汰と目を合わそうとしない。
「ああ…。てかなんで安部も来てるんだ」
「えっ。……えっと、すみません」
「まぁいいや。お前水谷より雪村を優先しそうだから」
「えっ!?」
とたんにボッと赤くなる亜希子を、昴は不思議そうに眺めた。
瞬間湯沸し器みたいだ、と失礼なことを思う。