泪
幽霊じゃない、と想汰は船内案内図を見ながら奥に進んだ。
昴と亜希子は目を合わせ首をかしげる。
「船幽霊が出たのはここか…」
想汰が止まったのは、KEEP OUTの黄色いテープが貼られてる倉庫だった。
想汰はそのテープを気に留めず中に入る。
「…少し湿ってますね」
濃い灰色に変色した床を見て、亜希子が言った。
想汰は床にかがみ、水の痕跡をたどり始めた。
「この階層は窓もない。しかし船幽霊は、この船内から現れた。どこに……」
ブツブツ呟く想汰と対照的に、することがない昴は倉庫のなかを歩き回った。
「雪村、船幽霊ってなんだ?」
「浸水する現象」
「違う。お前らが言う「船幽霊」」