「…海で死んだ人間が、浮かばれずになるもの。手にひしゃくを持ち、それで水を汲んで船を沈める」

「不確かだな」

「?」

「これは船幽霊の仕業だと決める、決定的な証拠がない。
ひしゃくなんてこの倉庫にもある。床が水浸しになるのなんて、浸水すればそうなるに決まってるだろう」

「でも見てる人がいます」

「目撃者の主張は、目撃したものの主観的な主張であり、客観的じゃない。つまり、公平じゃないんだ」


探偵のように推理する想汰に、昴は感心した。
心理学の教授より探偵の方が向いてるのではないか。

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