「なぜ入った。好奇心か?野次馬か?」

「野次馬です」

淡々と言い放ち、想汰は昴に「帰るぞ」と呼び掛ける。
昴は亜希子の手をつかみ、素直に彼の言葉にしたがう。

亜希子は気の毒なほど顔を赤くさせた。

「いやいやちょっと待て!」

逆に船員は素早く昴の肩をつかむ。
たくましい体躯の船員と、虚弱な昴とでは力の差がはっきりとしており、昴は「ぐえっ」と潰された蛙のような声を出す。


 
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