泪
水谷は、よくドラマで見たことがある紺色の陰陽師の格好をしていた。
演劇部の発表で似たような服を見たことがある気がした。
問われた本人は、よくぞ聞いてくれた!とでも言いたげに胸を張った。
バサバサと袖丈を嬉しそうに上下に揺らす。
「演劇部の皆本に貸してもらったんだよ!どうだ!それっぽいだろ!?」
「ああ………うん、」
ああ…ウザい。
とりあえず二、三世辞をいって、キョロキョロと想汰を探す。
彼のところへ行けば、水谷は絶対ついてこない。