泪
ふと、食堂のドア近くで壁の花を決め込んでいる想汰が目に入った。
ホッとしてそちらへ行こうとすると、わらわらと華やかに着こんだ女性たちに囲まれる。
「あのお名前を聞かせてもらっても?」
「どこからいらっしゃったんですか?」
「少しお話でも…」
「えっえっ……いや、あの」
見知らぬ(しかも女性&年上)に詰められ、昴はおろおろと慌てる。
知り合いならいいが、他人と接するのはまだ緊張する。
「こま…困ります…」