泪
「手?」
言われて下を見ると、自分の手が亜希子の手のひらに重なるようにして握っていた。
つなぎ方が悪かったのだろうか。
顔を赤くする理由が理解できず、昴はとりあえず彼女の手を離す。
まだ顔の熱が冷めないらしい亜希子を放置しておくのもできず、なにもするでもなくそばにいると、不意に首筋に刺すような寒気が走った。
反射的にそこをおさえ振り返る。
だが、昴には大勢いる食堂のなかで自分を見る人物を特定できなかった。
気のせいか、と思いつつ違和感を拭いきれず昴は首をかしげる。
「どうしました?」