泪
スゥ…と横髪を撫でられる。
「これだけ長いと…ポニーテールとかいいんじゃない?私も長くしたいんだけど、やっぱりスキューバダイビングとかじゃ邪魔なのよ」
「海、好きなんですか?」
「ええ。私の名前も海がついてるじゃない?」
「そうなんですか…」
いざ打ち解けてみると、意外に盛り上がるものだ。
しばらく話してると、息を切らせて死にそうな雪村さんが帰ってきた。
私の好きな炭酸を買ってきてくれて、たぶん知らなかったんだろうけど嬉しくなった。
神崎さんと雪村さん。
悔しいけど、あの二人の間には私なんかが踏み込む余地なんてない。
正反対な二人だけど、それゆえ互いに無いものを補いあってるようで、お似合いの二人だ。
けれど…それも長くは続かなかった。
数ヵ月後、神崎結海さんは…二度と帰らぬ人になった。