神崎さんの葬式から1ヶ月間、雪村さんは大学に来なくなった。

彼の一番の仲良しの滝さんに聞いてみたところ、「生きてはいる」というよくわからない返事をされた。

そから、水谷さんが怖い顔をすることが多くなった。

話しかけようにも怖くてできない。


ある時、滝さんと二人で話したことがある。
まだ雪村さんは大学に来ない。

「…雪村なら生きてる。それだけしか言えないな」

「それでも、いいです。生きてるなら、それだけで」

はっきりいうと、滝さんは「そうか」と眼鏡のフレームを拭き始めた。

 
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