Doll
4
ぼくは山本病院の受付で自分の名前を告げると
白い制服を着たナースが「お待ちしておりました」と頭を下げた。
「ご案内致します。」
彼女はナースステーションにいる若干名のナースに軽く引き継ぎをし、ステーションから出てくる。
「地下なので、少し冷えるかもしれません。」
そう言いながらぼくの前を歩き出した。
「地下?」
「えぇ。当院、霊安室は地下に設けておりまして…」
・・・・・・れ、霊安室?!
何故だ?
何故そんなところにぼくは案内されるんだ??
いや、分かってる。理由なんてただ一つしかないのだから。
そして母親が言った『父さんが大変』の、言葉の意味を考えれば、“そこ”に誰が眠っているのかも安易に予想がつく。
だけど・・・そんな・・・
「こちらです。」
ナースが手のひらで指した先には、見るからにひんやりと冷えきった、重そうな扉があった。
この、先、に・・・
ぼくは、唾を飲み込むと、震える手でそっと、扉を開けた。