Doll


・・・・・・・・・・・え?

ぼくは、白い布を剥がされた遺体を見て、声を失った。



だって。


目の前にいるのは。


数日前に音信不通になったぼくの大切な…


「・・ハ・・・・・・・ニ・・・」


間違えるわけない。


   ピンクの髪

      白い腕

 薄い唇

     長いまつ毛





ぼくの




     Honey




そんな、馬鹿な


そんな馬鹿な!!!


ぼくは夢を見ているのか?


「と、父さん、なんだこれは?」
「…何がだ?」
「だって。だってこの女の名前は、《アイ》だろ?!」
「…まなだよ。…どうしたんだ?一体…」


ぼくは頭を抱えた。


アイ だろ?

だって、だってあの、プリクラ…



・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


《愛》ってまさか

《アイ》じゃなくて…

《マナ》と、読むのか?


じゃあぼくは 今まで ずっと…

そして 愛の お腹のいる赤ん坊の父親は…




あ。

ああああああああああ!!!!!!!!!



ぼくは ハニーの眠る霊安室で 失神した。
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