君の温もりを知る
「な、なんで私なの…?
あんた『神に愛された男』なんでしょ?
そんな人が、なんで私をかまおうと?」
素直に、そんな疑問を口にしてしまった。
「そりゃ、お前がいかにも奥手で、
このままの距離でもいいや、
なんて顔してるからだろうが」
「いや、別にそんな…」
「…自分に他の女に勝てる物があると?」
「え、や、…ない、…ですけども」
「だろうな。自信のなさが顔にでてんぞ。
まあ、…貧乳だししかたねえか」
舐めるように身体を見られ、
別に制服を着ているのに、反射的に
手で隠さなきゃいけない気がした。
「言っとくけど、普段の俺なら
面倒だし、こんなことしねえぞ。
ありがたく思えよ」
「え、いや、そんな気まぐれで…。
ていうか、さっきまで校内でイケナイ事
してた人に限って頼りたくな…」
「いいか?これは『命令』だ」
音もなく、彼は今までの距離を縮めた。
思わず唇が触れるんじゃないか、
そう構えてしまうほどの距離に息を飲む。
「初めから拒否権はねえの。
そうだな、もし逆らうようなら…」
ーーー犯すか。
好きな男の前で、自分のそんな姿を
晒したくなきゃ…わかってるよな?
彼は言った。
言葉もそうだが、彼のその
飢えた獣のような目に、そのとき既に
私は囚われていたのかも、しれない。