記憶を失くしたわがまま彼♡
う、そ…………
だと思った。
嘘だと信じたかった。
でも、その真剣な目が事実ということを物語っていた。
風斗くんの目線の先には
頬杖をついて空を見ている愛香の姿があった。
どうして、そんな真剣な目で愛香を見ているの?
どうしてそんなに切なそうなの?
なんど自分に問いただしてみても返ってくる答えは同じだった。
“風斗くんが愛香を好きだから”
泣きそうになった。
どう見ても好きな人に贈る眼差しだったから。
でも、私にはどうも出来ないよね…………
これは、風斗くんが決めることだもの。
好きな人には幸せになってほしい。
風斗くんも好き。
でもそれに負けないくらい愛香も好き。
だから、もし愛香が風斗くんを好きになったら、応援しなきゃね…………
うん。
これでいいの。
でも、きっと風斗くんは不器用だから自分の気持ちに気づいてない。
あとで、話してみようかな……