記憶を失くしたわがまま彼♡






放課後_____________




私は風斗くんと話をしようと、愛香に断って風斗くんを探した。




クラスの子にどこか知ってるか聞いたら、尚人くんが




「屋上行くって言ってたかも…………」





と言ってくれたので、屋上へ探しに来た。





すると案の定、屋上にあるベンチの上に横になっていた。




話しかけようと上から覗くと





「うわっ!!市川?なんで…………」





「ちょっと話したいことが、あって。」




「俺は別にねぇ…………」




「あのね………」




「おい!人の話を………」




「愛香の事。」




風斗くん、やっぱり驚いてる。




「風斗くん。率直に聞くけど、愛香の事好きでしょ?」





「はっ?!そんなんじゃ………」




「目泳ぎまくり」




「………ねぇんだよ………」





「え?」




「まだ、わかんねぇんだよ。好きかどうかなんて…………」





「見ててわかるよ?授業中もずっと愛香の事見てる。」




「好きってなんなんだ…………?」




「好きって……その人をみてドキドキしたり、その人が悲しい顔をしていると自分まで切なくなっちゃう事かな?」




「…………」




「…………」


沈黙が続く。





「わかったでしょ?自分の気持ち。」





「………山下が好きなのか、も





……でも、どうすればいいかわかんねぇ。」





「デートとか誘えば?」





「で、出来ねぇよ…………」





「大丈夫だって!!何かあったら私に、言って?」





「…………でもな。」






「最後に私から一つ言葉を贈るね…………助言みたいなやつだけど…………」





「…………?」






「“Ich wünsche Ihnen Glück”」




「何語だ?よくわかんねぇよ…………」





「ドイツ語なんだけど……うーん。暇な時に調べてみてね。」




「なんだよ。それ。助言じゃねぇし…………まぁ、でもありがとな…………」



そして、その言葉が書かれた小さなメモを渡した。




実はこの言葉は、私が好きな曲に書かれていた言葉





“Ich wünsche Ihnen Glück”





“貴方の幸せを願います”







「頑張ってね。」





その日はそれで、別れた。





恋って難しいんだね…………



改めて、そう思ったよ?



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