嘘つきなワタシと年下カレシ【完】
「ここに通ってるなんて、知らなかった。名前は?」と私から口を開く。

「佐々 煌大(ささ こうだい)と言います。今日からここに通うことになりました」

 B5用紙をちらりと私に見せて、佐々君がペコっと頭をさげた。

「私は山村 まりな。ここで事務をやってるの。よろしくね」

「よろしくお願いします」

「B-3の教室だったよね。こっちよ。最初の授業は相田先生の英語だね……てことは高2かあ」

 私は今日の時間割を思いだしながら、佐々君の年齢を確認する。

 高校2年生ってことは、17歳。私とは9歳差か。全く以って恋愛対象外だわ。

 対象云々より、犯罪か。

「M高の2年です」

「……M高!? 佐々君って頭、いいんだね。進学校だし、受験勉強とか……大変そう」

 私は佐々君の前を歩きながら、廊下を進んで行く。

 M高っていったら、お坊ちゃまだし、文武両道の学校じゃない。

 ますます完璧な男子だわ。

 雲の上の年下男子ってところかしら。

「頭が良いかどうかはわかりません。受験勉強も別に大変と感じたこともないですし」

「じゃあ、なんでここに?」

「母が……いえ。やっぱり受験のため、ですかね」

 佐々君が喉を鳴らしてから、訂正をした。

 
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