嘘つきなワタシと年下カレシ【完】
「女は単純よ。佐々君の言動は女子の乙女コゴロと刺激しまくるの。ベランダ前で待ち伏せして、窓を開けたら、佐々君のにっこり笑顔なんて……佐々君のスタイルとイケメン顔じゃイチコロよ。不整脈を起こすの。その後に、『電話して、すぐに』なんてメッセつきで電話番号を投げるなんて、反則!! レッドカードものよ。絶対電話しちゃうじゃない。『電話番号ゲット』発言は禁句よ。佐々君の心地よい低音で言われたら、脳がチョコのごとく溶けるわ。もう私は好きにして状態よ!! 今の言動一つひとつを単品で来たってドキドキがマックスで目がハートになるのに、一気に三つも攻撃されたら、相乗効果で女子の恋心は崩壊寸前よ。固い城壁だってあっさり壊れる」

 電話口でクスクスと失笑が聞こえてくる。

 私はスッと立ち上がると「ちょっと、ちゃんと聞いてるの?」と怒鳴った。

「聞いてます。山村さんの城壁は壊れましたか?」

「は?」

 私は脳内が真っ白になる。

 思考停止。起動にはちょっと時間がかかりそう。

「その発言、減点」とやっと思いでぼそっと口から吐き出すと、私はまたベッドに腰を落とす。

 十代の思考がわからない。

「オバさんをからかってる?」

「山村さんは綺麗なお姉さんです」

「減点」

「俺、落第決定? 補習授業ってありますか? ぜひ個人授業で」

「……お受験失敗で、浪人決定よ。他の学習塾に行きなさい」

 私はスマホを耳からはなすと、ピッと通話を遮断した。

 
< 24 / 41 >

この作品をシェア

pagetop