嘘つきなワタシと年下カレシ【完】
「相田先生、宣戦布告なら受けますよ。山村さんへの想いを隠すつもりはないですから。とくに貴方には。すでに他の女性と結婚している先生には勝ち目は全くないと思いますけどね」

 俺はにっこりと笑った。

「佐々、お前……どこまで知ってるんだ」

「知ってる? 何をです?」

「まりなが話したのか」

「山村さんは何も言いませんよ。塾に通ってる一生徒にベラベラと己の恋愛事情を話すような女性じゃないでしょ。ただわかる人にはわかりますよね。そのコロンの匂い。山村さんからも時々、香ってくる……鼻のきく人間なら簡単に計算できる」

 俺は教科書をパタンと閉じると、相田先生の肩がピクっと反応した。

「お前、『最低』って言われるだろ?」

「初めて言われました。『格好良い』とはよく言われますけど」

 相田先生が舌打ちをすると、席を立った。









―煌大sideー終わり



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